FAXの歴史と仕組みをわかりやすく解説|日本で今も使われる理由とは?

流行・生活文化

はじめに

いまではメールやチャットが当たり前になったけれど、職場や役所でふと目にするのが「FAX」。
紙を機械にセットして送る、あの独特の“昭和〜平成らしさ”がまだ息づいていますよね。

世界では利用が減っている一方で、日本では中小企業や医療機関、そして一部の行政機関で今も大切な業務ツールとして使われています。
「なんで日本だけFAXが残っているの?」と疑問に思う方も多いはず。

この記事では、そんなFAXの150年以上にわたる歴史から、仕組み・規格・技術の進化、そして日本で根強く残る理由まで、やさしく丁寧にまとめていきます。
当時のオフィス文化や技術の裏側を知ると、ちょっとした“平成ノスタルジー”も感じられるはずです。

読み終わる頃には、いつも何気なく見ていたFAXの姿が、少し違って見えるかもしれません。では、一緒にタイムスリップしていきましょう♪


第1章:FAXの誕生と歴史

1-1:機械式ファクシミリの原点

FAXの歴史は、なんと19世紀までさかのぼります。
電話よりも早く、「離れた場所に画像を送る」というアイデアが生まれていたんです。

最初の大きな一歩は1843年。イギリスのアレクサンダー・ベインが、文字の黒と白を電気信号に置き換えて送る仕組みを発明しました。
とはいえ当時は同期(送る側と受け取る側の動きをぴったり合わせること)がとても難しく、実用化までは至りませんでした。

その後、イタリアのジョヴァンニ・カゼッリが「パンテレグラフ」という装置を作り、送信側から同期信号を送る仕組みによって精度が向上。
手書きメモやサインを送れるようになり、ヨーロッパの鉄道局などで実際に使われるほどに成長しました。

さらに1848年には、イギリスのベイクウェルがドラム回転式の方式を発明。これは現在のFAXの基本構造に近いものでしたが、こちらも同期の問題で苦戦……。
技術は着実に進歩しているのに、あと一歩が届かない。そんなもどかしい時代がしばらく続きます。

1-2:電子式への移行と革新

状況が大きく変わるのは20世紀に入ってから。
1906年、ドイツのコルンとフランスのベランが、光電管を使った「電子式ファクシミリ」を誕生させました。

紙に描かれた濃淡を光で読み取って電気信号に変換し、それを電話線で送る……。
いまのFAXにグッと近づいた瞬間です。

ただし、この時代もまだ課題があって、同期の仕組みには音叉が使われていました。温度や湿度が変わると音叉の振動数も微妙にズレてしまい、受信画像が乱れることも。
「正しく送ったのに、届いた画像がブレる…!」という悩みと戦い続けていたわけですね。

1-3:日本の技術者たちによる飛躍

そして、この“同期の壁”を本気で突破したのが日本の技術者たちです。

1928年、日本電気(NEC)の丹羽保次郎さん、そして小林正次さんが開発したNE式写真電送装置では、同期検定装置や三相交流モーターを使い、送受信の回転数を完全に一致させる革命的な技術を実現しました。

このNE式は、なんと昭和天皇の即位礼(1928年11月10日)の式典写真を京都から東京へ送り届けることに成功。
日本の新聞史・通信史に残る大きな出来事になりました。

さらに1930年には逓信省が「写真電報」としてサービスを開始。
漢字をそのまま送れる便利さから、オフィスや官公庁で広く使われ、FAXの基礎がここで固まっていきます。

こうしてFAXは、150年以上かけて「機械式 → 電子式 → 実用化」とゆっくり進化を続けながら、私たちの生活の中に根付いていきました。


第2章:FAXの技術が進化していく流れ

2-1:規格(G1〜G4)の推移

FAXが一気に世の中へ広がった背景には、国際規格の整備があります。
ばらばらだったメーカーの仕組みを、ITU(国際電気通信連合)が統一することで、どこの国のFAXともやり取りできるようになりました。

まずは1968年に登場したG1
A4一枚の送信に360秒(6分)もかかる時代で、いまの感覚だとちょっと信じられないですよね。

その後、1976年のG2で時間が半分に。
とはいえアナログ方式なので、まだまだ時間はかかりました。

大きな転換点は1980年のG3
ここでデジタル化とデータ圧縮(MH/MR/MMR)が導入され、A4一枚が約1分で送れるようになりました。
さらに、ノイズを自動補正するECMという仕組みも登場し、家庭や中小企業に一気に普及していきます。

1984年にはG4が登場し、ISDN回線によって高速化。A4をわずか数秒で送れるようになりました。

そして後年は、インターネットを使ったInternet FAX(T.37/T.38)へ。
メールにTIFFを添付して送る方式や、IP電話経由でリアルタイムにやり取りする方式が登場し、FAXは“アナログ機器”から少しずつ“ネットの世界”へ近づいていきます。

2-2:スキャナ技術の発展

FAXの読み取り精度を支えてきたのがスキャナ部分の進化です。
最初期は原稿を円筒に巻いて回転させるドラム方式でしたが、操作も手間が多く、装置も巨大でした。

  • ドラム方式:円筒を回しながら針や光電管で読み取る
  • 光ファイバ式の平面走査:原稿を平らにセットできるようになった
  • フォトダイオードアレイ:小型化が進み、家庭用FAXの普及に貢献
  • CCD:高精細で読み取り可能
  • CIS(密着イメージセンサ):さらに薄型・省スペース化が実現

こうした改良のおかげで、いまの「フラットベッド型」や「ADF(自動原稿送り装置)」付きのFAXが当たり前になったんですね。

2-3:記録技術の進化

受信側の“印刷方式”も大きく変わってきました。

  • 化学反応式記録(初期):電流で紙を変色させる方式
  • OFT記録:光を使って感光紙に記録する
  • 静電記録:多数の電極で潜像を作る
  • 感熱記録(サーマル紙):低コストで一気に普及
  • レーザー方式:プリンタと同じ仕組みで高品質
  • 熱転写+普通紙記録:長期保存がしやすく、ビジネス向けで人気

特に感熱紙FAXは、平成初期のオフィスでよく見かけましたよね。
ただし保存性が弱く、長期間置いておくと黒ずんだり消えたりするのが欠点……。

そのため、企業では普通紙に印刷できる「レーザー方式」「熱転写方式」が徐々にメインになっていきました。

2-4:通信技術と便利機能

FAXが「ただ送るだけの道具」ではなく、ビジネスの中心ツールとして広く使われた理由のひとつが、通信機能の充実です。

  • ECM(誤り訂正モード):ノイズで画像が乱れても自動修正
  • スーパー電送:メモリ蓄積 → 高速転送で時間短縮
  • 順次自動ポーリング:受信側が必要なデータを取りに行く方式
  • 縮小送信:相手側に合わせて自動で画像サイズや濃さを調整
  • 自動診断機能:回線状態をチェックして最適化

“紙でありながらデジタル”という、少しユニークな立ち位置で進化したのがFAXの面白いところ。
アナログ回線時代でも、ここまで工夫されていたんだと思うと技術者さんたちに拍手を送りたくなりますね。


第3章:FAXの送受信はどう行われているのか

ここからは、FAXが実際にどんな流れで「画像を送る/受け取る」のかを見ていきます。
一見シンプルに見えるFAXですが、その裏側では意外と複雑なやり取りが行われているんですよ。

3-1:送信の流れ(ステップ解説)

FAXの送信は、次のような段階を踏んで進行します。

  1. 準備(設定)
    原稿をセットして、濃さ・精細度を調整。相手の番号を入力します。
    業務用複合機ではメモリに原稿を一度保存してから送信が始まります。
  2. 発信
    FAXが交換機にダイヤル信号を送り、相手先へ接続を試みます。
  3. 再ダイヤル
    相手が話し中だったり不在の場合は、一定時間後に自動で再チャレンジ。
  4. CNG信号の送出
    「私はFAXですよ〜」と相手に知らせるため、
    0.5秒の1100Hz音 → 3秒無音 を繰り返すCNG信号を送ります。
  5. 相手側の応答(CED信号)
    受信側はCNG信号を検知するとFAX装置を起動し、
    2100Hzの連続音(CED信号)で応答します。
  6. 能力決定とモデム調整
    「どの速度で送る?」「どの圧縮方式にする?」といった相談をお互いに実施。
    これによって、もっとも効率良いモードが自動的に選ばれます。
  7. データ送信開始
    決まった方式に合わせて、画像データが送られていきます。家庭用FAXはここでスキャン開始。
  8. エラー確認と再送
    ECM機能がONなら、エラーのあった部分だけ再送してくれるので安心です。
  9. 回線切断
    送信完了、または相手が応答しなかった場合は切断が行われます。

こうしてみると、FAXは“送る→届く”の裏で、何段階もの確認と調整を行っていることがよく分かりますね。

3-2:受信の仕組み

受信側では、送られてきたデータを印刷方式に合わせて記録していきます。

  • 感熱紙方式:熱で発色させ、音も静かで低コスト。ただし保存性が弱い。
  • レーザー方式:トナーを使い、普通紙に高品質で印刷できる。
  • 熱転写方式:リボンを溶かして普通紙に転写。長期保存に向く。

もし紙切れが起きても、最近のFAXは内蔵メモリが代わりに受信してくれるので安心。
紙を補充したあとで、溜まっていた文書を一気に印刷してくれます。

このように、FAXは「送る側」「受け取る側」が息を合わせて動くことで、昔ながらの紙文化を支え続けてきたのです。


第4章:なぜ日本ではFAXが今も残るのか

世界の多くの国では、メールやクラウドストレージの普及によってFAXは急速に姿を消しつつあります。
ところが日本では、いまでも中小企業や医療機関、行政などを中心に“現役の業務ツール”として使われています。

色鉛筆で書いたFAXのイメージイラスト(Heisei Archive)

では、なぜ日本だけFAX文化がここまで根強いのでしょうか?
その理由をいくつか見ていきましょう。

4-1:日本でFAXが残る文化的・実務的な理由

① 紙文化が強く、印刷物として残したい人が多い

日本では「紙で残す=安心」という考え方が根強く、
領収書、注文書、医療データなどを“手元に置いておきたい”層が多いのが特徴です。

② 高齢者やアナログ業務との相性が良い

デジタルツールが苦手な人や、自治会・病院などではFAXが今も“簡単で確実”。
紙を置くだけ、番号を押すだけ……という操作のシンプルさが好まれています。

③ 行政・医療現場では「確実に届くこと」が最優先

メールのように迷惑フォルダへ入ってしまう心配がなく、
アドレス間違いのリスクも比較的少ないため、医療・行政分野では信頼性が重視されがちです。

④ アメリカでは逆に「メールより安全」とされる例も

興味深いことに、アメリカの一部企業では意図的にFAXを使い続けていて、
「サイバー攻撃されにくいから安全」という理由で導入する企業もあります。

⑤ 新型コロナで明らかになった“日本のFAX依存”

2020年のコロナ禍では、保健所が手書き書類をFAXでやり取りすることで業務が遅れる問題が浮き彫りになりました。
これをきっかけに行政のデジタル化が進みましたが、まだ完全移行までは時間がかかりそうです。

こうした背景が重なり、日本ではFAX文化が思った以上にしぶとく残っているんですね。


4-2:紙文化からの移行に役立つ“現代のプリンタ複合機”という選択肢

こうした状況から、最近では「FAXは使わなくても、プリンタ・スキャナは必要」という人が増えています。
紙の書類をPDF化したり、メール送信したり、クラウド管理したり……。

つまり現代のオフィスでは、FAX単体よりも“プリンタ兼スキャナ”の複合機が中心になってきているんです。

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大容量インクで印刷コストを抑えながら、スキャン・コピーもこなしてくれるので、“紙文化”からの移行にもぴったりです。

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FAX文化が薄れつつある現在でも、「プリンタ+スキャナ」の組み合わせは欠かせません。
ここからは、FAXの設置や回線の注意点についても少し見ていきましょう。


第5章:FAX設置の注意点

FAXはシンプルな機械に見えますが、実は“回線との相性”がとても重要です。
ちょっとした設定ミスでも送受信がうまくいかず、「相手に届かない…」なんてことも起きてしまいます。

ここでは、FAXを設置するときに気をつけたいポイントをまとめておきますね。

5-1:回線の設定を正しく合わせる

FAXを使うときは、契約している電話回線の種類に合わせて本体設定を行う必要があります。

  • ダイヤル回線(パルス回線):昔ながらの“カチカチ鳴る”タイプ
  • プッシュ回線(トーン回線):今の固定電話で一般的な方式
  • ISDN回線:デジタル回線(G4や一部の複合機で対応)

ここを間違えると、FAXが電話局へ正しく信号を送れず、送信エラーや接続エラーが起きてしまいます。

5-2:ADSL回線を使っている場合の注意点

もし自宅やオフィスがADSL(アナログ回線+データ通信)を使っているなら、必ず「スプリッタ(フィルタ)」を入れましょう。

理由はシンプルで、FAXのアナログ信号とADSLのデータ信号がぶつかり合ってしまうと、

  • 送信が途中で切れる
  • 受信画像が乱れる
  • 相手側のFAXが異常終了する

といったトラブルが起きやすくなるからです。

また、同じ建物の隣の部屋でADSLを使っている場合も、わずかにノイズが乗って影響するケースがあります。
「なんだか調子悪いな……」と思ったら、回線の干渉を疑ってみても良いですね。

5-3:回線機器との距離や配線にも気を配る

FAXはアナログ信号を扱うので、長すぎるモジュラーケーブルや劣化した配線はトラブルのもとです。

  • できるだけ短くて質の良いケーブルを使う
  • 分岐を多くしない(タコ足は避ける)
  • 雷サージ対策タップで保護する

こうしたちょっとしたポイントを押さえておくだけで、送受信エラーの予防につながります。

FAXの歴史や仕組みを知ってみると、こうした“アナログならではの注意点”も自然と見えてきますね。


第6章:FAX技術から見る“同期と通信の歴史”

FAXの歴史を振り返ってみると、ずっとつきまとっていたキーワードがあります。
それが「同期」です。

遠く離れた場所にある2つの機械を、“まったく同じタイミング”で動かす。
これは当たり前のようでいて、技術者たちにとっては長い間とても大きな壁でした。

6-1:FAX技術は「同期の精度」とともに進化した

19世紀の初期ファクシミリは、振り子やゼンマイを使って同期を取ろうとしていましたが、どうしてもズレが出てしまいます。
その結果、送られた画像はブレたり、伸びたり、歪んだり……。

電子式に移行してからも、同期の精度が上がらない限り、美しい画像は送れません。
技術は進歩していくのに、最後の最後で“ズレ”が邪魔をする。そんな時代がしばらく続きました。

6-2:NE式の成功がもたらした“革命”

この状況を突破したのが、日本のNE式写真電送装置でした。
三相交流モーターを使って送受信側の回転数を完全に一致させ、さらに同期検定装置でズレを自動補正するという画期的な仕組みを採用。

京都から東京へ昭和天皇即位礼の写真を送ることに成功したのは、その象徴的な出来事です。
技術者たちが「ズレと戦い続けて勝ち取った成功」とも言えますね。

6-3:通信網の進化がFAXを後押しした

同期技術が安定してきたところで、さらに電話回線そのものが進化したことで、FAXは一気に普及していきます。

  • 音声帯域のアナログ回線でG1・G2が誕生
  • デジタル化とデータ圧縮がG3を支えた
  • ISDNの高速通信がG4を可能にした
  • ネットワーク時代に合わせてInternet FAXへ

回線の品質が上がっていくほど、同期のズレも起きにくくなり、FAXはより安定した通信手段になっていきました。

6-4:時計の精度が上がるほど通信は正確になる

FAXの歴史を一言で表すなら、まるで“精密な時計のズレを改善していく物語”のようです。

時計の精度が少し上がると、世界のどこにいても正確な時刻を共有できるようになりますよね。
FAXも同じで、同期精度が上がるほど、より鮮明に、より早く情報を送り合えるようになりました。

技術が成熟した今、FAXは役目を少しずつ終えつつありますが、その進化の過程には“通信技術の本質”がギュッと詰まっているのです。


まとめ

FAXの歴史をたどってみると、150年以上も前から「離れた場所に画像を送る」という夢を追い続けた技術者たちの努力が見えてきます。
振り子やドラムから始まり、光電管、同期モーター、デジタル圧縮、そしてネットワークへ……。

FAXは、時代ごとに課題をひとつずつ乗り越えてきた“通信技術の集大成”のような存在です。

世界では縮小の流れが強いものの、日本では紙文化や業務慣習が背景となって、まだまだ活躍している場面もあります。
ただし、これからはプリンタ複合機やクラウドツールが主役になっていく時代。

紙とデジタルのバランスを取りながら、私たちの生活の中で最適な“情報の扱い方”を見つけていきたいですね。


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FAXの歴史を知ると、同じ時代を支えた通信・デジタル文化も気になってきますよね。
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よくある質問

Q
FAXは今後なくなりますか?
A

完全になくなることはありませんが、使われる場面は確実に減っていきます。
医療や行政など「確実性を重視する現場」ではしばらく残りますが、一般企業ではメール・クラウドFAX・スキャナの利用が主流になりつつあります。

Q
Internet FAXと普通のFAXはどう違う?
A

最大の違いは“使う回線”です。
通常のFAXは電話回線、Internet FAXはメールやVoIP(ネット回線)を利用します。
紙を使わずPDFで送れる、スマホでも使えるなど、現代的な使い方が可能です。

Q
家庭でFAXの代わりに使うなら何が便利?
A

プリンタ複合機(コピー+スキャナ)がもっとも万能です。
紙をスキャンしてPDF化し、メールで送ったりクラウドに保存できるので、FAXを持たなくてもほとんどの用事をカバーできます。

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