ネオジオポケットとは?SNKが挑んだ16ビット携帯機と“ぐりぐりレバー”の伝説

アニメ・ゲーム

ネオジオポケットは、「知っている人は強く語れるけれど、知らない人にはほとんど触れられてこなかった」――そんな少し不思議な立ち位置の携帯ゲーム機です。 1990年代後半、携帯ゲーム機といえばゲームボーイが当たり前だった時代に、SNKはまったく違う方向を向いていました。

それは、「アーケードゲームの操作感を、そのまま手のひらに持ち込む」という、とても職人的で、少し無茶な挑戦です。 その象徴が、独特な8方向ジョイスティック、通称“ぐりぐりレバー”でした。 格闘ゲームを本気で遊ぶために作られたこの操作系は、今でも語り草になるほど強烈な個性を放っています。

一方で、ネオジオポケットは決して成功したハードではありません。 短期間でのカラー版投入、強力すぎる競合機の存在、そしてSNK自身の経営問題。 さまざまな要因が重なり、歴史の表舞台からは早々に姿を消してしまいました。

それでもなお、ネオジオポケットが「失敗作」で終わらなかった理由があります。 遊べばすぐに伝わる操作の気持ちよさ、ソフトの完成度、そして作り手の思想。 時代が追いつかなかっただけで、本質的にはとても誠実なゲーム機だったのです。

この記事では、ネオジオポケットとは何だったのかを、当時の背景や技術的特徴、なぜ短命に終わったのか、そして現在どのように再評価されているのかという流れで、やさしく整理していきます。 「名前だけ聞いたことがある」という人にも、「昔持っていた」という人にも、もう一度向き合ってもらえる内容を目指します。


ネオジオポケットとは?SNKが挑んだ16ビット携帯機

ネオジオポケットは、1998年にSNKが発売した携帯型ゲーム機です。 当時の携帯ゲーム市場は、任天堂のゲームボーイシリーズが圧倒的な存在感を放っており、「携帯機=任天堂」というイメージがほぼ定着していました。

色鉛筆で書いたSNKが発売した携帯型ゲーム機のイメージイラスト

そんな状況の中でSNKが持ち込んだのが、これまでの携帯ゲーム機とはまったく異なる発想です。 ネオジオポケットは「手軽に遊べる携帯機」ではなく、「本気でゲームを遊ぶための携帯機」として設計されました。

その思想はハード構成にもはっきり表れています。 CPUには16ビットのTLCS-900/Hを採用し、さらにサウンド用としてZ80互換のプロセッサを搭載。 これはアーケードゲームや家庭用ネオジオで培ったSNKの技術を、できる限りそのまま携帯機に落とし込もうとした結果でした。

また、ネオジオポケットは発売当初から「格闘ゲームを携帯する」という目的が非常に明確でした。 多くの携帯機がRPGやパズルゲームを主軸にしていたのに対し、SNKは自社の強みである格闘ゲーム文化を正面から持ち込もうとしたのです。

この時点で、ネオジオポケットはすでに万人向けのゲーム機ではありませんでした。 しかしその代わり、SNKらしい一貫した思想と、アーケードゲームメーカーとしての矜持が、はっきりと刻み込まれた携帯機だったと言えます。


最大の特徴「ぐりぐりレバー」という異端の操作系

ネオジオポケットを語るうえで、絶対に外せないのが独特な操作デバイスです。 一般的な携帯ゲーム機が十字キーを採用していた中で、ネオジオポケットはあえて8方向入力が可能なジョイスティック型のレバーを搭載しました。

この操作系は、正式名称よりも「ぐりぐりレバー」という愛称で知られています。 指先で倒すと、内部のメカニカルスイッチがカチカチと反応し、入力方向がはっきり分かる構造になっていました。

このレバーの最大の強みは、格闘ゲームとの相性です。 波動拳や昇龍拳のような斜め入力を含むコマンドでも、指を滑らせる感覚で自然に入力できるため、携帯機とは思えないほど安定した操作が可能でした。

一方で、この操作感は好みが分かれるポイントでもありました。 十字キーに慣れていたユーザーにとっては違和感が強く、アクションやRPGでは必ずしも万能とは言えなかったのです。

それでもSNKがこのレバーを採用した理由は明確でした。 ネオジオポケットは、「どんなジャンルも無難に遊べる携帯機」ではなく、「格闘ゲームを気持ちよく遊ぶための携帯機」であることを、操作デバイスそのものが語っていたのです。

この割り切った設計思想こそが、ネオジオポケットを唯一無二の存在にし、今なお語り継がれる理由のひとつになっています。


ネオジオポケットカラーへの急展開と市場の混乱

ネオジオポケットは、発売からわずか数か月という非常に短い期間で、大きな転換点を迎えます。 1999年、SNKはモノクロ液晶のネオジオポケットに続き、カラー液晶を搭載した「ネオジオポケットカラー」を投入しました。

当時、携帯ゲーム機のカラー化は大きな流れになっており、SNKとしても対応は避けられなかったと考えられます。 しかし、初代ネオジオポケットの発売から約5か月後というタイミングは、あまりにも早すぎました。

この急なモデルチェンジは、初期ユーザーに少なからず戸惑いを与えます。 「買ったばかりなのに、もう新型が出た」という印象が強く、ハードへの信頼感を損なう結果になってしまいました。

また、ソフトメーカー側にとっても悩ましい状況でした。 モノクロ版とカラー版で対応を分ける必要があり、開発リソースが分散してしまったのです。 結果として、ネオジオポケット向けのソフト展開は勢いを欠くことになりました。

一方で、ネオジオポケットカラー自体の完成度は決して低くありません。 カラー表示によって表現力は大きく向上し、格闘ゲームやアクションゲームの魅力も一段と引き出されました。

それでも、市場の評価が追いつく前に次の波に飲み込まれてしまったことが、ネオジオポケットシリーズ最大の不運だったと言えるでしょう。 ハードとしての問題というよりも、タイミングと市場環境に翻弄された側面が非常に大きかったのです。


競合機との携帯ゲーム機戦争

ネオジオポケットが戦わなければならなかった相手は、決して小さな存在ではありませんでした。 1990年代後半の携帯ゲーム機市場は、すでに激しいシェア争いの真っただ中にあり、強力なライバルがひしめいていたのです。

最大の壁となったのは、任天堂のゲームボーイカラーでした。 圧倒的な普及台数に加え、『ポケットモンスター』という社会現象級のキラーコンテンツを抱えていたことは、ネオジオポケットにとって致命的とも言える差でした。

ゲームボーイカラーは、性能面でネオジオポケットを大きく上回っていたわけではありません。 それでも、「友だちがみんな持っている」「通信対戦が当たり前」という環境そのものが、すでに完成されていました。 携帯ゲーム機において、この空気感は非常に強力です。

さらに、バンダイのワンダースワンも無視できない存在でした。 縦持ち・横持ちを切り替えられる独自設計や、低価格路線は、幅広いユーザー層に訴求していました。 ワンダースワンは、ネオジオポケットよりも「一般層」に向けた戦略が明確だったと言えます。

こうした中で、ネオジオポケットは明確に尖った立場にありました。 格闘ゲームを中心とした硬派なラインナップ、独特な操作系、SNKファン向けの設計。 その個性は魅力でもありましたが、市場全体を取り込むにはあまりにもニッチだったのです。

結果として、ネオジオポケットは性能や完成度とは別の次元で苦戦することになります。 携帯ゲーム機戦争においては、「どれだけ売れているか」「どれだけ仲間がいるか」が、遊びやすさそのものを左右していました。 この構造の前では、どれほど尖った思想も届きにくかったのです。


ソフトラインナップと隠れた名作たち

ネオジオポケットの評価を語るうえで、ソフトラインナップの存在は欠かせません。 本体の販売台数こそ伸び悩みましたが、発売されたソフトの完成度は非常に高く、「数は少ないが質は高い」という特徴を持っていました。

中心となったのは、SNKの看板タイトルです。 『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズや『サムライスピリッツ』は、携帯機とは思えない操作感とテンポを実現しており、ぐりぐりレバーの真価を最も体感できるジャンルでした。

また、『メタルスラッグ』シリーズも印象的な存在です。 ドット絵の魅力を損なわず、限られた画面サイズの中でしっかりと“らしさ”を表現していました。 アクションゲームとしての完成度も高く、今遊んでも驚かされる出来です。

注目すべきなのは、サードパーティによる作品群です。 セガやナムコ、カプコンといった本来は競合関係にあるメーカーも参入し、携帯機向けとして非常に丁寧に作り込まれたタイトルを投入しました。

中でも評価が高いのが、アクション性を重視した移植作品です。 原作の魅力を理解したうえで、ネオジオポケットの操作系や画面に最適化されており、「ただ移しただけ」では終わっていません。

結果として、ネオジオポケットのソフト群は「売れなかった名作」が多く生まれることになりました。 当時は注目されにくかったものの、後年になって再評価され、今ではレトロゲームファンの間で高く評価される存在となっています。


商業的には失敗、それでも語り継がれる理由

ネオジオポケットは、結果だけを見れば商業的に成功したゲーム機とは言えません。 本体の販売台数は伸び悩み、ソフト供給も途中で失速し、市場から姿を消すまでの期間は非常に短いものでした。

その背景には、SNK自身の経営問題が大きく影響しています。 アーケード事業を中心に展開していたSNKは、家庭用・携帯機市場への対応に苦戦し、最終的には経営悪化から倒産という結末を迎えました。 ネオジオポケットは、その流れに巻き込まれた側面が強いハードでもあります。

しかし、ネオジオポケットが単なる「失敗作」として扱われないのは、その中身が非常に誠実だったからです。 操作性、ゲームデザイン、ハードの作り込み。 どれを取っても、「売れるため」より「良いゲーム体験を作ること」を優先していたことが伝わってきます。

特に評価されているのが、遊んだ人にしか分からない操作の気持ちよさです。 ぐりぐりレバーによる入力の確かさは、携帯機という制約の中では異例とも言える完成度でした。 この一点だけでも、ネオジオポケットには語り継がれる価値があります。

また、後年になって公式配信や復刻が行われたことで、「触れる機会がなかった名機」として再評価が進みました。 当時の市場環境では届かなかった魅力が、時間を経て正しく評価され始めたのです。

ネオジオポケットは、売れなかったからこそ、思想が濁らなかったゲーム機とも言えます。 流行に合わせて迎合するのではなく、最後まで自分たちの理想を貫いた。 その姿勢こそが、今も多くのゲームファンの心を引きつけている理由なのかもしれません。


今からSNKの世界観を体験するなら

ネオジオポケットの思想を語るうえで欠かせないのが、SNKが一貫して大切にしてきた「アーケード品質」という考え方です。 限られたハード性能の中でも、操作感やゲーム性を妥協しない。 その姿勢は、携帯機であるネオジオポケットだけでなく、SNKの他のハードにも共通しています。

そのSNKらしさを、今の環境で手軽に体験できるのが NEOGEO Mini International です。 本体に複数の名作アーケードゲームが収録されており、電源を入れるだけでSNK黄金期のゲーム体験に触れることができます。

ネオジオポケットが「アーケードを携帯する」ことを目指したハードだとすれば、 NEOGEO Miniは「アーケードそのものを手元に置く」ための存在です。 方向性は違いますが、根底にある思想は驚くほどよく似ています。

ネオジオポケットに興味を持ったものの、実機を探すのは少しハードルが高い。 そんな人にとって、NEOGEO MiniはSNKのゲーム哲学を知るための、最も分かりやすい入口と言えるでしょう。

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操作感にこだわる人への最終回答

ネオジオポケットを語るとき、多くの人が口にするのが「操作していて気持ちよかった」という感想です。 それは性能や画面の美しさではなく、入力した通りにキャラクターが動くという、ゲームの根本的な快感に直結しています。

その思想を、現代の環境で最も分かりやすく体験できるのが NEOGEO アーケードスティック Pro です。 見た目は据え置き型のコントローラですが、中身はSNKの操作哲学が詰め込まれた一台と言えます。

レバーの感触やボタン配置は、格闘ゲームを前提に設計されており、曖昧な入力を極力排除する方向で作られています。 これは、ぐりぐりレバーで「正確な入力」を重視していたネオジオポケットの思想と、はっきりとつながっています。

ネオジオポケットが携帯機という制約の中で追求したのが、アーケードに近い操作感でした。 NEOGEO アーケードスティック Proは、その理想を据え置き環境で実現した存在だと考えると分かりやすいでしょう。

格闘ゲームをしっかり遊びたい人、操作感に妥協したくない人にとって、 このスティックは単なる周辺機器ではなく、「SNKの考え方そのもの」を体験するための道具になります。

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現在の遊び方と公式配信

ネオジオポケットはすでに生産終了から長い時間が経っていますが、現在でも公式な形で遊ぶ手段が用意されています。 それが、SNKによる復刻配信タイトルです。

代表的なのが「NEOGEO POCKET COLOR SELECTION」シリーズで、Nintendo SwitchやPC(Windows)向けに配信されています。 実機を持っていなくても、当時の名作タイトルを手軽に体験できるのが大きな特徴です。

これらの配信版では、単なるエミュレーションにとどまらない工夫も施されています。 セーブ機能や画面サイズの調整、ボタン配置のカスタマイズなど、現代のプレイ環境に合わせた配慮がされています。

また、1人用が中心だった当時の携帯機作品でも、対戦プレイがしやすい形に調整されているタイトルがあります。 これは、オリジナルを尊重しつつ、遊びやすさを重視した復刻ならではの進化と言えるでしょう。

一方で、実機で遊ぶという選択肢も完全に失われたわけではありません。 中古市場ではネオジオポケット本体やソフトが流通しており、当時と同じ感覚で遊びたい人にとっては魅力的な選択肢です。 ただし、価格や本体の状態にはばらつきがあるため、ある程度の知識と覚悟は必要になります。

公式配信という形で気軽に触れるもよし、実機で当時の空気感を味わうもよし。 ネオジオポケットは、時代を超えて遊び方を選べる存在になったと言えるでしょう。


まとめ

ネオジオポケットは、決して時代の主役になった携帯ゲーム機ではありません。 販売台数や市場シェアだけを見れば、失敗作と分類されてしまう存在です。

それでも、このハードが今も語られ続けているのは、作り手の思想がはっきりと形になっていたからです。 アーケードゲームの操作感を携帯機に持ち込むという発想。 そのために採用されたぐりぐりレバー。 どれもが「売れ線」ではなく、「理想」を優先した結果でした。

結果として時代には追いつけなかったものの、ネオジオポケットは多くの名作と強烈な体験を残しました。 後年の公式配信や再評価によって、その価値が静かに掘り起こされているのは、とても象徴的です。

流行に合わせて形を変えなかったからこそ、ネオジオポケットはブレなかった。 その不器用さこそが、この携帯機最大の魅力なのかもしれません。

今あらためて振り返ることで、ネオジオポケットは「失敗したハード」ではなく、 時代を先取りしすぎた、こだわりの塊のような携帯ゲーム機だったことが見えてきます。


よくある質問

Q
ネオジオポケットはなぜ売れなかったのですか?
A

最大の理由は、ハードそのものの完成度ではなく、市場環境とタイミングにありました。 発売時期にはすでにゲームボーイカラーが広く普及しており、『ポケットモンスター』という圧倒的な人気タイトルも存在していました。 さらに、モノクロ版から短期間でカラー版へ移行したことで、ユーザーやソフトメーカーに混乱を与えてしまった点も影響しています。

Q
ネオジオポケットとネオジオポケットカラーの違いは何ですか?
A

大きな違いは画面表示です。 初代ネオジオポケットはモノクロ液晶でしたが、ネオジオポケットカラーではカラー液晶が採用され、表現力が大きく向上しました。 一方で、基本的な操作系や設計思想は共通しており、どちらも「操作感」を重視した携帯ゲーム機という点は変わりません。

Q
今からネオジオポケットを遊ぶ方法はありますか?
A

はい、あります。 現在はNintendo SwitchやPC向けに公式の復刻配信が行われており、実機を持っていなくても当時の名作を遊ぶことができます。 実機で遊びたい場合は中古市場を利用する方法もありますが、本体の状態や価格にばらつきがあるため、初心者には公式配信版の方が安心です。

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